2010年9月17日金曜日

知恵産業経営大会

先日、京都商工会議所主催の”知恵産業・経営大会2010”に参加してきました。


第一部の講演では、ジャーナリストの櫻井よしこさんが「世界の中の日本~これからの企業経営について~」というテーマでお話されました。

今後減っていく中で日本の立場がどうなるのか、という話からはじまり、「南シナ海の領土問題」を例として現在の民主党における政治を櫻井さんの視点からのお話で、鋭い観点からの世界における日本の立場をお聞きし、大変勉強になりました。

政治も人ごとではなく有権者である私たち自身も真剣に政治に対して向き合っていかなければ、日本の政治も変わらない、と感じました。

第2部の分科会では、4つの部会に分かれてのセミナーです。
私たちは、第2分科会の〝情熱経営~挑戦する経営者の知恵~″に参加しました。
マロニーでお馴染みのマロニー株式会社の社長様のご講演でした。

女社長の河内社長は40歳まで専業主婦だったのですが、後継ぎ問題で、三姉妹の長女であった河内社長が引き継がれたそうです。今や〝マロニーちゃん″と愛称で家庭で親しまれる存在になったマロニー。

女性の女社長ということで苦労された点も多々あり社員に支えられてきたそうです。また、現在はIT化の業務改善を行ってきたことについての事例紹介がありました。



セミナーでは、エコバックとマロニーが配られました。

次のセミナーは、〝はちみつ黒酢ダイエット″でおなじみのタマノイ酢の播野社長のご講演。播野社長がすごいんです。話をするスピードがとても速く、内容も的確でわかりやすいので、パワフルさに圧倒されました。

タマノイ酢さんの本社オフィスでは、PCはなく、フィットネスジムや茶室など考える力を身につける工夫がされていて、会社として、企画力に重点を置かれて業務を考えられているそうです。

企画力が重要とされる背景としては、
・考えないで仕事をする。
・人の言うとおりにする。
・過去の事例通りに行う。
という変化に対応しない人間が日本人に圧倒的に多いこと。

指示待ちや作業のように仕事をすることは、全く個人の成長につながらないですし、イキイキ働く仕事ができていないということです。日本のオフィスに圧倒的に多いのはこういった傾向ではないでしょうか。タマノイ酢さんでは、人材教育に力を入れられているそうで、新入社員研修の様子を紹介されていました。

3泊4日の新人合宿で、大声を張り上げて自分の考えをぶつけ合うのです。とても厳しい指導が飛び交い、参加者全員が涙するシーンが印象的でした。熱い思いをぶつけ合うこともオフィスの中では重要だと改めて感じました。

2010年9月10日金曜日

育児取得の問題と風土について



■性別役割分業の世代に育った方(女性は家庭、男は仕事という考えを持った方)には、男性の育児休業取得は、理解されにくいのではないですか?

世代間で時代の背景や価値観の違いはあって、一気に理解が進むとは思いませんが、例えば、参観日や運動会等の学校の行事に父親が参加することは、ほぼ当たり前になりつつあり、自分の親の世代ではあまり考えられなかったことです。

少しずつですが、風潮は変わってきていると思います。父親の子育て参加がごく普通のことと思える世代が管理職を担う年代になってきており、職場における理解はさらに進んでいくのではないかと思います。

■男性の育児休業取得は、さらに所得面での問題もありなかなか難しいと思いますが、取得率向上に向けて何か取り組みをされていますか?

 当社の事例としては、2006年に人事部の者が1名取得しただけで、まだ取得率は低く、男性の育児休業取得はこれからの課題だと考えています。

共働きが当たり前の現在においても、依然として男性が家計を支えている場合が一般的です。当社の現行制度では、育児休業取得中は給与が出ません。育児休業給付金は支給されるものの給与の半分程度で、収入ダウンは避けられません。

そのため、育児目的の休みであっても、自分の持っている有給休暇を利用するので、育児休業取得自体はなかなか進まないのが現実です。
今後は、男性の育児休業取得促進を視野に入れ、まずは一週間など、ある程度の期間は有給化しようかと検討をはじめているところです。
―― 有給化はすごくいいですね。そうなると男性も取りやすくなりますし、取得率をあげるには工夫も必要ですね。

そうですね。まずは、男性の育児休業取得率10%を目標としていますが、本音では子供が生まれた方の半分ぐらいは取得していただきたいと思っています。産後も奥さんは大変だと思いますし、男性が育児休業を取得することで育児がどれほど大変かの理解も深まると思います。

―― なるほど。

■男性が育児取得を取ると「出世コースから外れるよ」と言う企業も少なからずあると聞きますが、ワコール様ではどうですか?

そもそも「出世コース」というものがないですが、育児休業の取得が評価等に影響するかという意味においても、当社ではないですね。
夏休みに一週間休むのと同じで、育児休業も短期であれば、前もって計画的に業務を行うことで十分対応できると思います。休んでいる間の周囲の負担についても、普段から自分がいなくても他の人が判断できるように情報共有を行っておく、整理整頓を心がけ資料を探しやすくしておくといったようなことで軽減できると思います。
これは「休むため」だけではなく、業務のマネジメントという観点でも、是非実践すべきでしょうね。
まずは少しずつでも取得し、育児の大変さを経験してみることは大事だと思います。当社の事業領域には、マタニティーやベビー、キッズといった商品群も含まれますので、仕事以外で経験をすることがビジネスにも活きるかもしれないですよね。
―― 弊社では、制度は整いつつありますが育児休暇の活用事例がなく、まだまだです。 

■利用するための運用など対策はされていますか?

上司をはじめとした周囲の理解、制度を利用しやすい風土、雰囲気づくりが何より大切だと思いますが、運用上の工夫によって取りやすくすることもできると思います。
例えば、育児休業期間中の人員補充を行う際、人材派遣を活用することは一般的だと思いますが、現場では「人材派遣の方に重要な仕事は任せられないので、結局残されたメンバーにしわ寄せが来る」といった不満の声が聞かれ、育児休業を取得しにくい雰囲気を醸成してしまうことがあります。
この問題に対する工夫として、人材派遣の方に休業者の仕事をそのまま担当してもらうのではなく、チーム内の業務分担そのものを変えてしまう方法が考えられます。
例えば、チーム内の業務のうち、比較的軽い仕事・軽いけど手間がかかる事務作業など集約して、派遣の方に担当していただき、休業者の仕事のうち重要な部分は他のメンバーで吸収するといった方法です。

また、経営者や上位者が、育児関連制度を単なる「子育て支援策」ではなく、「優秀な人材が継続的に会社に貢献し続けてもらうための支援策」ととらえることができれば、言い換えると、せっかく育ててきた社員が、育児を理由に辞めていってしまうのは会社にとって大きな損失だと考えれば、自ずと両立支援への取り組みが促進されるのではないかと思います。

(2010年7月14日現在)

2010年9月1日水曜日

制度利用の視点

―― 皆さん、こんにちは。今回で取材企画第3弾となります。さてお待ちかね、ここで質問です。
1952(昭和27)年の秋、大阪の百貨店で国内史上初の「下着ショウ」を行なった下着メーカーをご存知でしょうか?
そうです、皆様ご存知1949年より、常に時代の最先端を行き、下着の流行を発信し続け、品質やデザインのすばらしさだけでなく、人間工学の視点から機能性も追求されています老舗下着メーカー「ワコール」様です!!今や京都をいや世界を代表する大手下着メーカーです。
創業以来、「女性と共にある」ことに存在価値を置き、2001年1月には「女性共感企業」を宣言されました。ピンクリボン活動などさまざまな取り組みを率先して行なわれている企業様で従業員の約8割が女性であるワコール様ならではのお話をお聞きしてきました。

■仕事と家庭の支援制度の例として短時間勤務制度など、お勧めや他にはない制度、取り組みなどはありますか?

株式会社ワコール
人事部 人事企画課 
人事企画担当 課長 
深沢 信介氏

出産、育児などに関する制度はごく一般的な内容ですが、制度の充実よりも、まずは制度を利用しやすい環境の整備を心がけてきました。

例えば管理職研修で理解促進を図ったり、職場復帰時の部門長との面談を行い、復帰に際しての不安を軽減したり・・・・。

現在では、制度を利用しやすい土壌は随分根付いてきたと思います。また休業中の不安軽減という意味では、毎月社内報等の配布物、連絡事項を送る際、総務の担当者がコメントを添えることで、「会社との繋がり」を感じてもらえるようにしています。

他に、女性社員の有志が自主的に作っている “WACWAC母の会”というお子さんを持つ社員のコミュニティもあります。ニーズが合致した方々が集まり、幅広い年代層の方々との有益な意見交換が出来る場となっています。

また、制度化できていないことについて、取り組みや運用でカバーしているケースもあります。

例えば、転勤のある総合職について、遠距離結婚や配偶者の転勤によって別居婚を余儀なくされているような場合、可能な範囲で配置替えを行うこともあります。制度として、一定期間の転勤免除等の配慮を行うかどうかは今後検討しようと思います。



―― フォローも行き届いているのですね!確かに制度利用後、社内の空気的に戻る場所がないのではないかなどの不安もなくなり、休業中、会社との繋がりがあると安心しますね。弊社は女性が少ないので、ワコール様のように女性が多く、制度が整いフォローの行き届いている企業にすごく憧れます。

実はそうでもないんですよ。当社は女性が大半を占めているからこそ、制度拡充の影響が非常に大きく、冒頭にも少し触れたとおり、制度内容そのものはそれほど充実しているわけではないんです。

例えば、育児短時間勤務を小学校入学後にも拡充されている企業もある中、当社では3歳までしか取得できません。
拡充のニーズは高いと思いますが、女性社員の大半を占める販売職が店舗勤務のため、シフト制の勤務形態になっており、一番忙しい夕方以降に勤務できない人が増えることは、現場としては非常に困るんです。

販売員が多い店舗では、シフトのやりくりで吸収することが比較的容易ですが、人数が少ないと、周りの方への負担が多くなり、かえって不満や軋轢に繋がってしまうことがあります。

それを解消するために人員補充を行えば、生産性の低下につながってしまう恐れがある。そういう事情があって拡充できていないんです。

仕事と育児の両立には可能な限り支援したいと考えていますが、制度の充実によってかえってマイナスの影響が出ることは避けたいし、そういった意味では慎重にならざるを得ません。
制度化が難しい部分については、できるだけ限り「運用」や「配慮」で対応しようとは心がけています。「運用」は裁量の度合いが大きく、融通が利きますが、明確なルールがない分、従業員にとっての保障は弱くなります。

逆に制度化した場合、できることはそれ以上でもそれ以下でもなくなるので、場合によっては本人のニーズに合わないことが出てくる。双方のちょうど良いバランスが大切だと感じています。
両立支援に対する制度の充実を可能にするためには、当社の社是でもある「相互信頼」、つまりお互いを尊重する心が欠かせないと思っています。

制度を利用する人は、権利主張ばかりするのではなく、周囲の協力があってこそ制度が利用できているのだと自覚し、感謝すること。働く時間が短く、子供の病気などで急に休んだりすることもあるわけで、周囲に負担をかけているのは事実です。

その分、時間内は他の人以上に懸命に働く。そうすれば周りも理解を示してくれるし、「育児で大変なんだから、少しでも助けてあげよう」という気持ちも芽生えるんじゃないでしょうか? 

一方周囲の人は、制度利用者がいることで負担を感じることがあるかもしれませんが、今後出産や育児、また介護等も含めれば、自分が逆の立場で、周囲のお世話になることもあるかもしれない。そう考えれば、「お互い様」だと思えるのではないでしょうか。

もちろん、「気持ち」だけで解決できる問題ではないですが、制度の内容や運用と同じぐらい、あるいはそれ以上に大切なことだと思います。











(2010年7月14日現在)

2010年8月31日火曜日

両立支援普及促進セミナー

先日財団法人21世紀職業財団 京都事務所主催の“両立支援普及促進セミナー”に参加してきました。
今回のテーマは、『企業におけるワークライフバランスの意義』です。
どのように社内で制度の意識啓発に対する取り組みをされているのか、また工夫点などをお聞きしてきました。

初めにシャープさんのご講演で、
内容は、ワーク・ライフ・バランスにおける自社の取り組みについてのお話。

シャープさんでは、仕事と育児・介護の両立支援として、育児休職の有給化や育児支援金を支給されているのだそうです。

(1) 育児休職開始時より10日間までを有給化 
(2) 有給期間終了後、育児休職期間終了まで月額6万円を支給

育児休職の有給化は今後視野に入れている企業も多いと思いますが、実際に導入されているのはすごいと思いました。収入の減少を抑えることで女性だけでなく男性社員にも育児休業の取得を促すことができる制度だと感じました。

そして、「育児支援金」制度も、とても進んでいると感じました。やはり育児休業中の経済負担が多く占めるので、取得する立場の方のニーズを反映されて作られたと感じました。

尚且つ進んだ取り組みが、男性が育児休職の取得を促す「育児取得案内メール」を送付したり、“経営トップメッセージ”を発信したり意識啓発に取り組まれているのだそうです。

それだけでなく、制度を周知させるために、社内イントラに制度取得者のインタビュー記事を掲載していたり、社内制度の情報と手続きを説明し、情報共有化を進められています。

さすが大手企業という印象でした。
お話の中にもありましたが、制度は権利として捉えてしまうのではなく、制度は、あくまでもツールとして自分のキャリアステップするためのものとして使いこなすことが大切だと感じました。

次の時間では、「男女とも活躍できる職場風土の取り組み~持続可能な社会に向けて~」パネルディスカッションが行われました。

コーディネーターの島本教授がパネリストの方々の話を次々に引き出されていました。
パネリストの各社の取り組み実例や工夫点についてのお話がありました。

自社の制度をうまく運営するため、パンフレット・チラシを作成、社内研修を行っていたり、制度周知の工夫がされていて、弊社社内でも、制度への周知については、まだまだ出来ていないので、そういった方法も必要だと感じました。

セミナーに参加して、“働きやすさ”ばかりを会社に求めるのではなく“働きがいのある職場”をつくっていく事が必要で、会社で働く個人がイキイキ働ける空間は、自分の仕事の中で作りだすものだと感じました。

2010年8月20日金曜日

秘訣は自分を客観的に見つめること






秘訣は自分を客観的に見つめること



三年目ぐらいまで毎日、「今日はどんなミスをしてしまうのだろう?」と緊張の中、出社していましたし、月曜の朝が憂鬱じゃなくなるまで長い年月がかかりました。

自分が新入社員の時は、仕事=自分で、全てが仕事状態でした。例えば、仕事でミスをすれば、自分をまるでだめな人間とかんがえてしまったりしました。

でも、あるとき、今の自分は入社する前の自分と比べて成長したなと感じることがありました。仕事を通じて、それまでできなかったことが随分できるようになっていました。仕事のおかげで自分は成長できている、仕事は自分が大きく成長するための手段で、仕事は自分の中の一部だと捉えられるようになったんです。

そうすると、例えば苦手な上司がいても、苦手な仕事が来ても、その瞬間はつらいと感じてもがんばれるようになりました。苦手や失敗に取り組んで、自分が成長できれば儲け物と思えるようになってから、仕事が楽しく思えるようになりました。

また、いろいろな人や本に触れるようにしました。そのような中から世の中の様々な考えを知り、会社と違う世界が広がりました。自分が勝手に作っている自分という枠を飛び出し、自分の限界を決め付けないこと、違う世界に出ていくこと、そうすると自然と自分の中で仕事が占める割合は小さくなっていきました。

例えば、電話がかかってきた時に「厄介な電話かも知れない」と考えるか「誰かが電話してくれた、ありがたい」と考えるかによって大きく変わります。

自分の知り得なかった様々なことを知ったり、刺激を受けることは、一見仕事と無関係だと思われますが、実は仕事を楽しく続けていく上で必要なのではないでしょうか。




会社にとって必要な人材になることが一番の近道



以前は女性は結婚したら退職するという風習みたいなものがあったよう思います。
でも今は、結婚したからといって辞めるという選択肢はないです。

時代と言えばそれまでですが、やっぱり楽しいと感じたら続くんですよね。社内でも旦那さんの転勤など止むを得ない場合を除き、寿退社という話もあまり聞かなくなりましたしね。

私の場合、社内結婚ですが、会社から退社をほのめかされる事もないですし、主人も現在も当社で働いています。実は、当社は社内結婚率が高いんですよ。

社内結婚は、実は社員にとっては逆にモチベーションも上がるのではないかと。同じ会社なので休みも同じというのもありがたいですし、それに会社の事情もなんとなくわかるので理解し合えますしね。

継続して勤務できるために会社が配慮してくれたり、社員の声がきっかけになって、新しい制度を作ったりしてきた例もあると思います。
このようなことも、会社側が必要な人材を結婚や出産で退社させたくないと思うからだと思います。

会社側に何かしてもらうことを求めるだけではなく、自分自身が会社にとって必要な人材となれば、会社の方がその人材が継続して仕事で力を発揮できるために、動くと思います。きっとそれが、自分が楽しく勤務し続ける環境を整える一番の近道だと思います。




取材を通して

―― 今回の取材でキラキラと輝く女性を目の当たりにした私たち。緊張する私たちにも暖かく接していただき、またお話がしたいと心から思える方々でした。

なんといっても細見さん、阿曽さんが、「社会人として、女性として魅力的!!」
今まで製造業で働く女性に抱いていたイメージを払拭された取材でした。

正直、お二方にお会いするまで、今も製造業は“男社会”のイメージが根強くあり、効率性を重視し、男性が主体となり動いている企業がほとんどだと思っていました。

けれど村田製作所様では、現場の声を聞き、仕事も家庭も両立できるよう個人のライフスタイルに合わせた働き方の支援など、男性の育児参加支援も進められていました。

そういった働きやすい環境作りを会社全体で取り組まれているのです!実際お二人からは「毎日会社にいくのが楽しみ」「仕事が楽しい」などの声も聞かれましたし、仕事も会社も好きだという気持ちがひしひしと伝わって来ました。

違う部署のお二方とお話したのですが、終始、自然と笑いが起きるほどいい雰囲気で普段からコミュニケーションをとられているのだと肌で感じました。ただの馴れ合いではなく、同じベクトルを向いて日々成長しあう仲間、良きライバルとしての絆の強さから生まれる空気なのだと身の締まる思いでした。

これだけ制度も充実し、従業員の方がイキイキと働かれている企業はもう何の課題もないのだろうなと感じていましたが、それでも女性の管理職の割合や制度を活用する側の意識はまだ課題であるとのお話もありました。

当社も含め、村田製作所様の様な社内環境が整っていない企業は、まず次のような点から改善していくべきだと感じました。

① ただ単に制度を整えることを重視するのではなく、周りの人の制度に対する理解を深め、活用しやすい環境を作ること。

② 制度を利用する側は権利だと主張するのではなく、制度を活用しても仕事量などのパフォーマンスは落とさない努力をすること


このような点を村田製作所様では、本質的に従業員の方々が理解をされ、利用する側も短時間での成果を上げることを意識されているからこそ、あのような社内環境ができるのだと感じました。

今後、イキイキと働く方の考えや支援企業からヒントとなるお話を聞き、多くの方に知って頂きたいと思います。そして当社の社内環境も含め改善へ繋がる様、研究していきたいと思います。

細見桂子様 ・阿曽祐子様 素敵なお話ありがとうございました!!

(2010年6月23日現在)

2010年8月10日火曜日

職場環境



■制度を利用された方々のお話や現場で一緒に働く方々の反応は聞かれますか?


そうですね、一度退社されて、もう一度入社される方もいるくらいなので居心地は良いのではないでしょうか。

他の企業で勤務されている元社員から、当社の制度が充実していたな、とか、人の教育がされていた、など、職場が恵まれていたことを実感したという声を聞きますね。

また、「村田製作所(敬省略)は働きやすく、新入社員で早々にやめる人を見ると、なぜやめるのか?そんなに世間は甘くない、と止めたくなる。」とも言ってもらえます。

また、制度を利用することに対しては、周りの理解が必要です。自分がいつその制度を利用するかわかりませんし、自分自身が使うことを考えると、サポートして欲しいという気持ちになるからではないでしょうか。
職場の皆で、サポートしましょうという雰囲気になっていますね。



―― へぇーすごいですね!!!!
私共の会社ではまだ制度を使った事例がなく、実際自分がその立場になった際、使いたいといえるかというと、正直まだ言いづらい雰囲気があります。

■そのような雰囲気になるまで、時間はかからなかったのですか?


確かに企業によると思います。過去は当社も男性が中心の会社だったので、使いづらい環境もあったと思います。

今では、「こういう制度が出来ました。」「じゃあ活用しましょう」といったように、制度を皆理解し、活用していこうと言う雰囲気ですね。

また、有給休暇は自分の仕事と調整して申請をすれば、取得でき、皆自分で計画して休んでいます。世間では休まなくて当たり前の企業もあると思います。

しかし、当社ではワークライフバランスの視点で、積極的に活用して欲しいという方針もあり、現在の取得率は約70%弱です。取得率が悪いと人事部から部門長に指導や注意が入るんですよ。
―― へ~!!すごく良い雰囲気ですね。

■やはり、現場の声を聞き築き上げられたものだからでしょうか?


そうですね。法律が変わったということもありますが、仕事を続けたいという思いを持つ人が増えました。また、会社としても、社員に長くいきいき働いてもらいたい、会社で得たスキルを活かしてほしい、両者の思いの高まりがこうした雰囲気につながっているのだと思います。
―― 制度が整っていて、なおかつ活用しやすい環境だと、ひしひしと伝わってきます。そうすると、自分の妊娠が分かるとすぐ上司に相談できる環境でもあるようですね。
多くの会社では、言いづらいのが当たり前だと思っていました。
そうですね。現在当社では、妊娠・出産=退社という感覚は特にないですね。

確かに、昔は、「子供が生まれます」というと続けたいと思っていても「いつ退社するの?」と聞かれたりして、「続ける」と言う考えを持っていなかった上司もいたと思います。

そういった声を、会社や組合が拾い、育児休暇制度の主旨や「出産=退社ではない」ことを管理職に理解してもらう努力をしました。やはり色々な方が変わる努力をしたと思います。

制度も社風も、いきなり良くなったわけではありませんし、伝える側も当事者も努力や工夫をしなければ何も変わらないと思います。


―― 制度を導入できて活用できているのはいいですね。

■制度を活用するうえでの課題はありますか?


短時間勤務制度を利用しても、働く時間やパフォーマンスは他の人と変えてはいけないと思います。

制度が充実していると、甘えてしまい最大限利用しようと考える社員もいるかもしれません。

子どもがいるから仕事が楽でいいという考えでは困ります。上司は子供をもつ社員の評価や、役割の与え方に悩むことがよくあります。

両立するために一生懸命な人には使ってもらいたいけれど、制度が抜け道とならないか、少し心配があるのも事実です。

けれども、実際にお子さんのいらっしゃる短時間勤務制度を利用されている方は、頑張っていると思います。勤務時間が当然少なくなるので、今までと変わらない評価をして欲しいとなると、頑張らざるを得ないですよね。いつ保育園から電話があるとわからないので、常に仕事を前倒していると言っていますね。

―― 短時間でぎゅっと仕事をするということですね。
確かに、頑張っている姿を周りが見ると、良い雰囲気ができますね。


取材を通して


―― 制度の活用状況では、なぜこの様な風土ができるのか終始興味深くお話を聞かせて頂きました。
短時間勤務制度を利用している人は、時間を言い訳にして、負担の少ない容易な仕事を選びどこか他人任せにしているのではないかと思っていました。

しかし、常に仕事を前倒しにし、効率的に行い、制度を利用前とほぼ変わりなく仕事をこなされているというお話をお聞きし、両立をしたいと純粋に仕事を前向きに取り組まれている方の価値観を知りました。

活用できる環境を作るためには、制度が整うことだけが重要ではなく、制度を利用する側と、受け止める側の制度の理解の仕方も重要で、制度を自分のスキルアップ(能力を発揮)の為として捉えることで、仕事をより効率的に行おうという意識が出てくると思います。

その姿を従業員が目にし、お互いの理解が高まり、サポートしようという思いが生まれますし、人間関係など本質的に改革させていくことで良い社内環境が作られると感じました。

私たちは今後、働きやすい職場にしてほしいというように、会社側に望むのではなく、自らが仕事も会社も好きになることで、「イキイキと働くためには何が必要か」と積極的に考え行動していくことができると思います。

(2010年6月23日現在)

2010年8月2日月曜日

制度活用への思い

―― 突然ですが、皆さん!「ムラタセイサク君」というロボットをご存知でしょうか?
そうです!今回取材させていただきましたのは、「ムラタセイサク君」の生みの親でいらっしゃいます、京都いや、日本を代表する電子部品メーカーの村田製作所様です。

創業当初から研究開発、ものづくりにこだわり、エレクトロニクスの進化とともに、現在もワールドワイドに活動を展開されています。

意欲のある方が出産・育児・介護といった家庭での努めを果たしつつ、キャリアアップができるようさまざまな制度を整え働く女性を支援される様になった経緯など、普段聞けないようなお話などもご紹介していきたいと思います。



今回は、環境部 環境推進課の細見桂子様
組織風土改革推進委員会 事務局の阿曽祐子様 に制度面についてお話いただきました。







■御社には 「ウェルカムバック制度」 という変わった制度を導入されていると思うのですが、詳しくお教え下さい。


この制度は、一旦当社を退職した者が、ムラタで働くことに再チャレンジできる制度のことです。

もちろん、手を上げた人全員が戻れるわけではなく、会社側のニーズがあることが条件になります。 

過去当社にいたということで、採用試験も少しハードルが低くなっていると思います。入社後の処遇
は以前のものを考慮されますし、すごくありがたい制度です。


■他に時間短縮勤務制度があると思いますが、どの様な制度ですか?


当社ではお子さんが小学校卒業するまで、養育する社員が取得できます。
一日120分まで短縮でき、人によって出勤時間を遅くしたり、退社時間を早くしたり、出勤、退社時間を一時間ずつなど、利用する社員の状況によって決めることができるのが特徴ですね。半日休暇という制度もありますし、社員は自由に取得しています。

また、当社の育児休暇は原則子どもが満一歳到達後の三月末までになり、長ければ産休と合わせて二年近く取得できるんです。マタニティー用
の制服ももちろんありますし、最近はマタニティーの方も非常に多いんですよ。

―― へぇー!!!すごいですね。個人によって利用時間が決めれたり、半日休暇はとても助かりますね。小学校卒業までなら子育てしながら働く意欲は出てきますしね。

■このような制度が確立された背景をお教えいただけますか?


そうですね、やはり当社で働くノウハウ持っていることは大きなメリットだと感じたのがきっかけだと思います。社内ルールや些細な決め事、物の配置など覚えなければならないことは多く、覚えるのに大抵一年はかかってしまいます。

しかし、経験者であれば、専門用語を話しても、ある程度の知識があるのですぐ理解できるんですよね。わかっているのは強みだと思いますし、活かすべきだと思います。

会社としても、当社が好きで戻ってきたい、結婚・出産してもやめたくないという人の思いをもっと活かせれば、社風も良くなると思います。

当社の労働組合が現場の声をヒアリング調査し実施していることも大きいと思います。原則は同じ職場、同じ部門に復職ですが、復帰される方にとってメリットがある様、職種は若干変わることもあります。

どちらにとっても働きやすい環境となるよう考えられています。そのために
最近人事も力を入れて、事前面談をアレンジしたりしていますし、復職前に職場の上司とどんな状況で、心配事はないかと面談する流れになっているんです。

―― そうなんですね!実際育児休暇から復帰すると、したい仕事が出来ない、勤務地を遠くにされたというお話をよく聞きますし、同じ所に戻れるのは良いですね。確かに、ゼロからとなると研修も必要で、費用も時間もかかってしまいますしメリットはたくさんありますね。そういう点も中小企業が取り組めれば女性活用するための問題を解決していけるかもしれませね。


■実際の利用状況をお教えいただけますか?

私が知っている限りでも職場に戻ってきている人は数人います。他の社員は知っていますし、制度を使っているということを他の社員も認識しています。
実際復職されるとなると、一緒に仕事したことがなくても、かつて当社にいた人だからどこか安心感があるんです。「お帰りなさい」といった感じで。この制度自体を好意的に受け止めている社員も多いと思いますよ。

―― すごいですね。なんだか暖かい感じがしますね。

■利用されている方は女性が多いのですか?男性はいらっしゃらないですか?

そうですね。ウェルカムバック制度も短時間勤務制度も知っている限りでは女性が多いです。ウェルカムバック制度については旦那さんの転勤とか、海外留学から戻って来られたり、という方がいらっしゃいます。
短時間縮勤務制度は、自分が養育するなど、取得条件が決まっているんですよね。ですから、現在はまだ女性ばかりです。
しかし、育児休業は、男性取得者も数名います。最近は男性の配偶者出産休暇(最長五日間)の利用者が多いようです。
最近でこそ男性の育児休暇取得者も増えましたが、出産・育児に関わりのない若い男性社員がワークライフバランスなどを理解しているかというとまだまだこれからです。 
例えば、短時間勤務の方と組み、「子どもが熱を出した」と早退することを理解できず、不満に感じ「またですか」と心無い一言を口にしてしまったという話も聞いたことがあります。
このような制度を女性だけのものではなく、すべての人が活用できるような物になり、皆が良いものとして捉えることができれば、利用者側が畏縮してしまう事も、周りが被害者意識をもってしまう事もないと思います。
利用者側が「こういう制度を皆も使うことになる」と声高に叫ぶことは難しいですから、人事から「こういう目的で実施している」とその旨を伝えることが大切だと思います。


取材を通して

―― 村田製作所様では、どの制度に関しても整っていて、実際に活用されていることに驚きました。今回の取材を通し、大手であることで制度が整うわけでもなく、活用しやすい風土も簡単に作り上げられたものではないと知りました。
私たちは大手だから制度が整っているのは当たり前だと思っていたのかもしれません。
企業にとって建前で制度を作ることも導入することも簡単だと思います。
しかし、村田製作所様では社員の方々が活用しやすいような制度を作るといったように、物事に対する姿勢がどれも本質的に行われており、考え方も違いました。
例えば、復職する方に対し、事前に人事の方が面談を行ったり、制度を導入後のヒアリング調査を行うなど、制度を従業員が快く活用できる為の努力をされており、組織の体制が出来ていました。
この体制は、従業員が自社を想い、自社で働き続けたいと望んだからこそ、出来上がったのだと思いますし、現場の人間がどれほど動くか、どれほど声を上げるかで制度も風土も大きく変化するのだと感じました。
そして企業も、従業員の想いを聞き、制度の様々な問題に対して真剣に向き合うことが重要で、従業員が長く安心して働ける環境作りを積極的に行うことで本質的に制度を活用できる風土が出来ると感じました。
(2010年6月23日現在)