2010年8月10日火曜日

職場環境



■制度を利用された方々のお話や現場で一緒に働く方々の反応は聞かれますか?


そうですね、一度退社されて、もう一度入社される方もいるくらいなので居心地は良いのではないでしょうか。

他の企業で勤務されている元社員から、当社の制度が充実していたな、とか、人の教育がされていた、など、職場が恵まれていたことを実感したという声を聞きますね。

また、「村田製作所(敬省略)は働きやすく、新入社員で早々にやめる人を見ると、なぜやめるのか?そんなに世間は甘くない、と止めたくなる。」とも言ってもらえます。

また、制度を利用することに対しては、周りの理解が必要です。自分がいつその制度を利用するかわかりませんし、自分自身が使うことを考えると、サポートして欲しいという気持ちになるからではないでしょうか。
職場の皆で、サポートしましょうという雰囲気になっていますね。



―― へぇーすごいですね!!!!
私共の会社ではまだ制度を使った事例がなく、実際自分がその立場になった際、使いたいといえるかというと、正直まだ言いづらい雰囲気があります。

■そのような雰囲気になるまで、時間はかからなかったのですか?


確かに企業によると思います。過去は当社も男性が中心の会社だったので、使いづらい環境もあったと思います。

今では、「こういう制度が出来ました。」「じゃあ活用しましょう」といったように、制度を皆理解し、活用していこうと言う雰囲気ですね。

また、有給休暇は自分の仕事と調整して申請をすれば、取得でき、皆自分で計画して休んでいます。世間では休まなくて当たり前の企業もあると思います。

しかし、当社ではワークライフバランスの視点で、積極的に活用して欲しいという方針もあり、現在の取得率は約70%弱です。取得率が悪いと人事部から部門長に指導や注意が入るんですよ。
―― へ~!!すごく良い雰囲気ですね。

■やはり、現場の声を聞き築き上げられたものだからでしょうか?


そうですね。法律が変わったということもありますが、仕事を続けたいという思いを持つ人が増えました。また、会社としても、社員に長くいきいき働いてもらいたい、会社で得たスキルを活かしてほしい、両者の思いの高まりがこうした雰囲気につながっているのだと思います。
―― 制度が整っていて、なおかつ活用しやすい環境だと、ひしひしと伝わってきます。そうすると、自分の妊娠が分かるとすぐ上司に相談できる環境でもあるようですね。
多くの会社では、言いづらいのが当たり前だと思っていました。
そうですね。現在当社では、妊娠・出産=退社という感覚は特にないですね。

確かに、昔は、「子供が生まれます」というと続けたいと思っていても「いつ退社するの?」と聞かれたりして、「続ける」と言う考えを持っていなかった上司もいたと思います。

そういった声を、会社や組合が拾い、育児休暇制度の主旨や「出産=退社ではない」ことを管理職に理解してもらう努力をしました。やはり色々な方が変わる努力をしたと思います。

制度も社風も、いきなり良くなったわけではありませんし、伝える側も当事者も努力や工夫をしなければ何も変わらないと思います。


―― 制度を導入できて活用できているのはいいですね。

■制度を活用するうえでの課題はありますか?


短時間勤務制度を利用しても、働く時間やパフォーマンスは他の人と変えてはいけないと思います。

制度が充実していると、甘えてしまい最大限利用しようと考える社員もいるかもしれません。

子どもがいるから仕事が楽でいいという考えでは困ります。上司は子供をもつ社員の評価や、役割の与え方に悩むことがよくあります。

両立するために一生懸命な人には使ってもらいたいけれど、制度が抜け道とならないか、少し心配があるのも事実です。

けれども、実際にお子さんのいらっしゃる短時間勤務制度を利用されている方は、頑張っていると思います。勤務時間が当然少なくなるので、今までと変わらない評価をして欲しいとなると、頑張らざるを得ないですよね。いつ保育園から電話があるとわからないので、常に仕事を前倒していると言っていますね。

―― 短時間でぎゅっと仕事をするということですね。
確かに、頑張っている姿を周りが見ると、良い雰囲気ができますね。


取材を通して


―― 制度の活用状況では、なぜこの様な風土ができるのか終始興味深くお話を聞かせて頂きました。
短時間勤務制度を利用している人は、時間を言い訳にして、負担の少ない容易な仕事を選びどこか他人任せにしているのではないかと思っていました。

しかし、常に仕事を前倒しにし、効率的に行い、制度を利用前とほぼ変わりなく仕事をこなされているというお話をお聞きし、両立をしたいと純粋に仕事を前向きに取り組まれている方の価値観を知りました。

活用できる環境を作るためには、制度が整うことだけが重要ではなく、制度を利用する側と、受け止める側の制度の理解の仕方も重要で、制度を自分のスキルアップ(能力を発揮)の為として捉えることで、仕事をより効率的に行おうという意識が出てくると思います。

その姿を従業員が目にし、お互いの理解が高まり、サポートしようという思いが生まれますし、人間関係など本質的に改革させていくことで良い社内環境が作られると感じました。

私たちは今後、働きやすい職場にしてほしいというように、会社側に望むのではなく、自らが仕事も会社も好きになることで、「イキイキと働くためには何が必要か」と積極的に考え行動していくことができると思います。

(2010年6月23日現在)

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