2011年2月8日火曜日

ロールモデルになる

―― 加藤さんが御社で初めて育児休業を取得され、制度作り・風土作りに貢献されたとお聞きしました。

■制度を活用された当時の心境や社内風土はいかがでしたか?


初めてのことだったのでどうすればよいのか会社としても正直戸惑っている状況でしたね。
やはり、会社全体が理解できているかというとまだまだでしたし、妊娠が解ってからもしばらく働いていました。

お腹がだんだん大きくなるにつれ、男性社員にとっても初めてでしたし、妊婦を扱ったことがないので、苦しさを理解してもらえず、やむなく階段の上り下りなど少し無理をしていたこともあって、突然ドクターストップがかかり、出勤できなくなってしまったんです。

入院のため、「急遽1週間ほどお休みを頂きたい」と言ったので、課にしてみれば、急に一人欠けると困るので「どうにかならないか?」と言われてしまいました。やはりそういった面での理解があまりなかったのは正直辛かったですね。


―― すごいですね!ご自身がロールモデルになられるということは、会社的に初めての立場であり、相談する相手がいないと心身的に大変だろうなとすごく思います。

■そんな状況の中なぜ加藤さんは働き続けようと思われたのですか?
やはり両立には家族の支えが必要不可欠だと思いますが、旦那様は仕事を続けることに対してはいかがでしたか?また両立に対して一番大変だったことは何ですか?


そうですね。産休で約1年お休みを頂きましたが、専業主婦って子どもとの時間もたくさんあってすごく素晴らしいなと感じていましたが、何カ月か経つと日々の生活に物足りなさを感じると同時に、なんだか社会に取り残された気がしたんです。

働いていると、普段の生活では到底知り会えなかったいろんな方と出会え、自分が社会に貢献しているイメージを持てたんですよね。だから、復職したいと思いましたし、復職後はすごく視野が広がった感じもしました。

また復職した頃は部署が総務課に異動になり、お母さん経験者もいたので相談できるようになりましたし、すごく助かりました。

やっぱり両立で一番大変だったのは、子供が病気にかかった時ですね。病気で休むことなんて想定していませんでしたし、初めは戸惑いました。休んでも1,2日だろうと甘かったです。早く迎えに行ってあげたくてもある程度、仕事を片付けないと帰れませんし、子どもに申し訳なかったなと思うこともありましたね。

でも総務の仕事は自分の管理の中でできる面もあるので助かりました。そう思うと、営業では対お客さんになるのでアポイントの関係もありますし、女性営業にはまだまだ課題はありますよね。


―― なるほど…そうですね。

■加藤さんが育児休暇を取得されてからは何名いらっしゃいますか?

やはり今でも妊娠して仕事を辞めたいと思っている女性は過半数だと思います。しかし、仕事に対する思いや一緒に仕事をしていく仲間でも両立するかしないかは大きく変わるなと感じています。


■仕事と家庭のバランスはいかがですか?


育児休暇取得者は現在までで3名で、今育児休業中の者が1名います。
社長から「子育てを応援する企業にしたい」との言葉があり、実際に子育てをしている者の意見を吸い上げて制度化を進めて頂いています。

例えば、子どもが病気となると、親は自分だけなので、どうしても放っておけないですよね。そんな時でも上司から「子どもが落ち着いたら戻っておいで」との言葉も頂けましたし救われました。

仕事も家庭も助けてもらうことができると考え、甘える時は甘えさせて頂いています。もちろん仕事は決められた期間にお金をもらっている分、手は抜けないという考えは大前提として必要です。仕事も家事も全部しようとするのではなく、周りに助けてもらうことも重要だと思います。

最近では、短時間労働も6歳まででしたが小学校3年生までに改正して頂きましたし、「取る、取らない」は別として選択肢として設けるのはすごくありがたいことですね。やはり日々改善していかなければ、子どもが理由で辞めがちになってしまいますし、そんなのもったいないですよね。


―― すごくパワフルですね。

■三原さんは、加藤さんの姿を傍でみていてどのように感じますか?


そうですね。家庭のことはわかりませんが(笑)加藤は、仕事に関しては、手抜きは一切ないですし、言ったことはありませんが、すごく尊敬しています。実際役職につき、会社としても認められていますし、私から見ると完璧な方です。

私は今アドバイスをいただきながら規程の改定やそれに伴う制度改正等にかかわらせてもらっていますが、制度があって休めたとか、制度があったから加藤のような事例が出たと言って頂くのをとても嬉しく思っています。2人目、3人目と、赤ちゃんの写真を見せてもらうのもとても嬉しいですね。

―― すごく素敵ですね!自分のスタイルを築いてこれたのは会社への貢献度が高いんでしょうね!

■両立していてよかったなと感じられる瞬間や働くお母さんの姿をみているお子様からのヒトコトなど嬉しかった出来事はありましたか?


そうですね…。常日頃から言われるわけではないのですが、「お母さん、ありがとう」と書かれた手紙を貰った時は、すごく嬉しかったですし、頑張って働いてきてよかった!と心から思いました。「今日は遅かったね」と言われてと心が痛むこともありますが…(笑)

でもやっぱり一生懸命やっていると後々わかってもらえると思っています。皆の助けがあってこそだと思い、本当に感謝していますし、子どもから励ましの言葉をもらった時は、変に家にいるよりは外に出て、働いていてよかったかなと思いますね。

(2010年12月14日現在)

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