2011年7月4日月曜日

“フレンドリー&ポライト”

---ついに取材企画第11回目を迎えました。 今回は、2010年に京都に旗揚げされた「ホテルカンラ京都」さまです。
その空間は、まるで都入りしたかのように気品さにあふれ、尚且つ古き良きと、現代のアートが共鳴し合っている様な空間でした。細部にまでコンセプトがあり、その場にいるだけで京の歴史が伝わる作りになっていましたし、本当に京都人も泊まりたくなるほど素敵ですぐに虜になりました。
インタビューにお答え頂いたのはサービスチーフマネージャーの原朝香さまです。
お会いした瞬間に、その笑顔に釘づけでした。表情に人柄はでるんだなと感じました。
今回はご自身の働き方や、会社の仕組み等をお聞きしました。


サービスチーフマネージャー
原 朝香氏


■ホテルカンラさんはどういったホテルか読者のみなさんにご紹介いただけますか?




当ホテルは元々教育施設として使用していた建物のコンバージョンで日本や京都の良さ伝統やおもてなしを楽しく学んでいただく事をコンセプトにした日本初のエデュテイメントホテルを目指しているんです。部屋全体は縦長で、京都の町家の建築様式を取り入れた客室で、全部で29室7タイプの部屋になっております。

エントランスは、寒い時期は生姜や柑橘系等の温かみのある香り、夏はミント等清涼感のある香りを使い体感温度を調節し、環境にも配慮しています。実はマイナス2度に関しては科学的にも実証されているんですよ。>ロビーや客室フロアは屋外をイメージしているんです。町家の門をくぐり母屋に向かう中庭をイメージしています。各客室の入口には風情ある町家の格子のデザインを用い、京都では昔から外観の格子を見てその建物の職業を識別していた習慣を取入れています一階共用部の照明LEDを使用し、春夏秋冬で春は桜色、秋は紅葉等の変化や、また朝、昼、夜と言ったように、季節や時間によって色を変えています。

例えば18時には、一旦暗くなり夕立が降り夜になっていく様をイメージしているんですよ。天井にはセンサーが埋め込まれており、人の動きや音、温度に反応して色やグラデーションが変わる仕掛けになっており、お客様同士やお客様とスタッフとのコミュニケーションのきっかけになるようにという想いが込められています。


---すごいですね。ホテルに足を踏み入れた瞬間、香りで別世界へと引き込まれ、すごく素敵な空間だなと感じてました。他のホテルとはまた違う感じがしますし、京都人でも泊まりたくなるホテルですね。

■その様な工夫は社員の皆さんで意見を出し合って決めるのですか?


そういって頂けると嬉しいですね、ありがとうございます。
確かに京都って中にいると特段すごいなと感じることもなく、街の至る所に由緒あるお寺があったりと歴史や文化も当たり前に感じてしまいがちですよね。
私は元々関東出身だったので、外から見た京都の感じや、知れば知るほど奥が深い”古都京都”の古き良き文化をしっかり伝えていきたいと思っています。

今後は当ホテルも京都の文化の発信地として、地域のコミュニティーなど、まだまだ踏み込めていなかった点にもより力を入れ、お客様に興味を持って頂けるよう発信して行きたいと思っておりますし、いろんなところに出かけて、地域の方々との繋がりをより構築できたらと思っています。当ホテルはデザイナー、設計、企画、運営の者、皆で作り上げている感じです。照明のカラーを変える際も一ヶ月前から話し合って決めています。



---皆さんで作り上げたホテルという感じが伝わってきますし、すごく素敵ですね。

■原さんが御社の中で働きがいがあるなと感じるところはどんなところですか?


そうですね、私は当ホテルで2社目になるのですが、以前のホテルは各自の仕事も確立され、やることも決まっていたんです。でも当ホテルはマルチタスクで、私も朝食の用意や、ベットメイキングも行ないますし、部署と部署の境がなく業務の幅が広く自由なんです。逆に大変ともいえますが、色んな事に挑戦できるんですよ。

元々、当ホテルは上下の垣根なく皆の力を活かし、長所は伸ばし、短所はカバーし合うというスタンスなのでやりたければ任せてもらえるんです。ですから任せてもらえる分なんでもやりますと言い過ぎると大変ですよ。(笑)

---そうなんですか?!大きく環境が変わったんですね!業務の垣根がないのはホテルには珍しいですね。
そこまで考えていなかったんでしょうね。でもあんまり抵抗もなく、怖くはなかったです。今でも面白い会社だなと思っています。元々、好奇心旺盛なんです。(笑)

とりあえず何でもチャレンジしたいですし、一歩踏み出してみようって思うタイプなんですよね。
大きな会社ではなかなか、自分の業務以外は行ないにくいですよね。もちろん、専門家を作るのもいいと思いますし、プロがいるのは強みでもあると思います。

ただ、私はもう少し小さな会社で色んな事にチャレンジしながら働く方がいいのかなって、ずっと思っていました。でもある程度の基礎を知らなければ応用も利きません。ですからホテル業界のイロハを以前のホテルで勉強させて頂き、育ててもらいました。当ホテルへの転職はある意味自分自身のキャリアアップといってもいいかもしれません。



---なるほど。確かに管轄があり、ある程度の自分の仕事の枠がある職場と比べて、特に枠組みがなければ、挑戦する自由はあるのかもしれません。自分自身どちらに価値を感じるかですね。

■ホテル業界は、キャリアアップの為の転職が多いとお聞きしましたがいかがですが?


そうですね。ホテル業界は割と転職の度のキャリアアップが多いです。というのはホテル業界自体が狭く、ホテル同士で「こういう人材が欲しいのですがいかがですか?」等のやり取りもあるくらい横の繋がりも強いんですよ。

でも、ホテルの“キャリアアップ”は難しいともいえます。何を持ってキャリアアップとするかですが、ホテル業界のキャリアアップは、昇進する毎にマネジメント側に入るため、どうしても現場から離れてしまうんですよね。ですから、現場が好きな人はスペシャリストとして現場に残ることもあります。やはり現場に残るにはシフト制ですし、結婚・出産当を考えると数はぐっと減りほんの一握りになるんです。
でも当ホテルは両立しやすいのではないかなと私は思っています。基本は現場主義なんです。現場も声を上げれば出来るだけの運用を考えてくれますし、現場は現場でお互いをフォローします。その様に希望をかなえてくれる、どんどん後押ししてくれる会社だと感じています。

---そうなんですね。すごく心強いですね。では皆さんの人間関係もすごく良いんですね。

そうですね。当ホテルは社員50名程ですが皆仲良いです。元々の社風だとは思うんですが、弊社の社長は「社長」と呼ばれる事を嫌がるんです。社長との距離も近く、他にタイトルがついている方も皆“さん”付けで呼び合っていますよ。皆、和気あいあいとしていて、すごく働きやすいとは思います。

私は中途採用ですが来た時からすごく良い空気で、すぐに馴染めました。皆会社が大好きで子供を連れてきたり、結構家族や、友達を休みの日に連れてくることもあります。弊社ができたばかりのころちょうど従業員の奥さんが妊娠8カ月頃だったんです。
その時は皆で「カンラちゃんにしよう!」という話にもなってたんですよ。(笑) ボツでしたが…(笑) 
本当に嬉しい限りですね。
社員の休憩室は京都の地図が描かれたホワイトボードがあり、好きなように書き込めるようになっているんです。頂いた御礼状が貼ってあったり、業務的なことだけでなく、社員の子供の写真が貼ってあったり、多種多様に自由に書き込めるんです。

---本当に温かい感じがしますね。ついついマニュアルに頼ってしまいがちですが、御社は心からのおもてなしが伝わってきました。

ありがとうございます。弊社にはビシビシのマニュアルはなく、個性を活かしたおもてなしを心掛けているんです。十人十色で感覚的な所もあるんですが、事前に伝えられるところは伝え、お客様に合わせ臨機応変な対応ができるようにしています。
やはり、事前準備をしていても、ふたを開けてみなければわからないこともあります。ただ、よく来て下さるお客様であればもちろんある程度の把握は必要です。本当に一番大切なことはそのお客様を御もてなししたいという想いだと思うんです。ですから弊社はマニュアルだけに頼るのではなく、“フレンドリー&ポライト”をモットーに親しみやすくても、きちんとした礼儀をわきまえた接客を心掛けています。一般的な“ホテル”よりもお客様との距離は近いと思います。やはりそれでもお客様によって変えていかなければならないところはありますが、近くて親切でいいなとの御声も頂いています。

最初の社内研修で、当ホテルの基本的な考え方や、おもてなしに関してはしっかりと教育します。基本を教えて、あとは各自でアレンジしています。また、日々の振りかえりをしっかり行ない、フィードバックし、意見をしっかり聞き、一日の出来ごと等は共有しています。日々改善、変化です。ですから、引き継ぎはしっかり行ないますし、シフト交代ごとの変更は多いです。やっぱりこう!とかこれを徹底して下さいと言ったように、一日の内で何度も変わります。それについてくるスタッフはすごく大変だとは思いますが本当に皆よくついてきてくれています。




---すごいですね。それだけ柔軟な対応ができるんですね。皆さんすごく暖かく迎え入れてくれますし、本当に気持ちいいです。誰かに勧めたい!と思うホテルですね。

1 件のコメント:

  1. SGの川西です。
    本当に素敵なホテルですねえ。
    京都という土地柄に非常にマッチしたホテルです。
    京都のホテルを紹介してとよく知人、友人に尋ねられますが
    自信をもってお薦めできるホテルだと思いますよ。
    原さまも素敵ですし、お勤めされている従業員の人たちの笑顔が見えるようです。
    そういう会社になるために、当社も頑張らねばと心に強く思いましたねぇ。ありがとうございました。
    感謝(^人^)感謝♪

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