2011年5月18日水曜日

一人ひとりの仕事があるわけではないんです。一人ひとりの“役割”があるだけなんですよね。


■お話しをお聞きしていても選手同士の距離がすごく近いなと感じましたが、やはり皆さん同じ理念に基づいて行動され、同じ姿勢だから最初から自然と団結できたのですか?


川)最初からではないですよ。初めは、うまくいかないことも沢山ありました。今は一年経って、関係もすごく良くなったと思います。

河)ほんとに最初はぶつかったね。今は皆、すごく仲いいですよ。去年と比べたら皆大きく変わりました。一年経って、皆思っていることを言い合えるようになりましたし、自分の居場所を見付け、自分を出せるようになってきたんじゃないかと思います。チーム自体は年齢層も幅広く、どうしても遠慮がちになってしまいますが、野球や相手に対して思ったことを言えずにプライベートにまで持ち帰ると自然と態度にでてしまいチームに悪い空気が出てしまいますが、一年を通してお互いに溶け合ってきたような感じですかね。

元々私自身が私情をグラウンドに持ち込むのが嫌ですし、「今日元気ないね、どうしたの?」って言われるのも言うもの嫌なんです。人に気を遣わせてしまうじゃないですか?言った方も言われた方も。
だから極力言いたくないんです。オンとオフの切り替えですね。最初は切り替えなんてできませんでしたよ。社会人の時は仕事中も沈んでしまったりしていましたが、野球はまたなんか別格ですね。(笑) 今は好きなことをやっているので大変ではありませんね。(笑)
そもそも野球界はさばさばしているし、すぐ思っていることは皆言いますし、お互いぶつかります。スポーツだからうまくいっているところはあるかもしれませんが…(笑)

 
---なるほど、確かに同じ夢に向かって、同じ土俵で戦っているからこそなのかもしれませんね。相手が真剣であればある程自分も熱くなりますよね。

河)そうですね。同じように皆自分の意見や価値観をしっかり持ち、プライドを持って戦っていますから、それを否定するのではなく、お互いを認め、相手の意見を引き出すのが大事だと思います。相手を尊重することが一番大事ですよね。それでも仲がいいとつい感情的になってしまうことはありますが、相手を認めていなければ意味のないケンカになってしまいますしね。それこそ、私たちはチームプレーなので。一人ひとりの“仕事”があるわけではないんです。一人ひとりの“役割”があるだけなんですよね。だから、チームがまとまらないと、自分の役割も意味がありませんし、チームにとって何の役にも立たないんです。チーム一丸になることです。

---チーム一丸…すごくいい言葉ですね。

■今後、女子プロ野球選手としての輝きを磨いていく中で、将来の子どもたちに女子プロ野球という職業をどう伝えていきたいですか?


河)ずっと野球を続けていくのも一つですが、私たちは野球で優勝することよりも、将来の夢が“女子プロ野球選手”と言ってくれている子供たちがもっと増えていくようなプレーをしていきたいです。そしてもっともっと女子プロ野球自体を発展させること、そして自分たちからも世の中に女子プロ野球を発信していくことが大切だと感じています。

川)私自身、将来の夢がオリンピックに出ることだったんです。でも、女子ソフトボールもオリンピック種目でなくなり、夢が無くなる辛さを知りました。それでも、私の場合は女子プロ野球ができ、もう一度夢を追いかけることができました。だからこそ、自分達は女子プロ野球一期生として、野球をし続けること、そして、夢を追いかけている子たちが夢をなくすつらさを味わうことのない様に、皆の夢をも背負っていると意識し女子プロ野球を発信していきたいですし、もっと大きく発展させていけるように頑張ります!

---なるほど。すごく素敵ですね。ご自身の体験からのお話しなので心に響きます。一つの夢が繋がっていくことで新たな夢が繋がっていくという感じですね。

河)そうですね。それから私は大学の教員免許を持っているので、引退後、学校で働いた場合は、進路指導の際、自分の経験とか話しながらただお金がほしいからだと長続きしない、好きなことではないとやめてしまいますし、何か好きなことを仕事にしなさい!!と一番伝えたいです。自分がそうだったんですよね。給料がいいから、だと仕事で何かあった時にとりあえず始めた仕事だし、やめちゃおうかなとか心が折れてしまうんですよね。やりたいことを仕事にすることで責任感もやる気もでますし、非常にいいと思います。


■今後の女子プロ野球の土壌を組み立てていきたいとお考えですか?


岩崎氏
岩) そうですね。どうしても野球は男子の土俵に上げられてしまい、男子と比べられがちです。野球の歴史は男子には到底及びませんが、女子には男子にはない魅力が沢山ありますし、そこをもっと周知させていき、女子野球を一つのスポーツとして確立させることも目標です。

それから選手は、柔道整復師の資格を取る為に学校に行きながら、野球をしています。引退後、野球を教えるのも一つですし、資格を取れれば開業することもできます。その資格を活かすかどうかは本人次第ですが、女子プロ野球リーグでは引退後のことをサポートし、選手が少しでも、プレーに集中できるような環境を提供できればと考えています。女子プロ野球自体もまだまだ作り上げている途中です。今の選手たちが一つ一つ道筋を作り上げていく立場でもありますからね。選手は今に精一杯取り組み、土壌を踏み固めていって欲しいと思っています。

---なるほど。引退した後のことは考えずに今を精一杯取り組める環境はすごくありがたいですね!皆さん安心ですね。新たなステージを作っていけるということは、次が入ってくること自体が自分自身のやりがいや、達成感に繋がりますね。

河)そうですね。引退後についてあまり考えたことはありませんが、女子のスタッフになる人もいれば、監督になるかも知れませんよね。男子であればコーチになり解説者になるという道がありますが、女子は未知の世界です。(笑)

もしかしたら女子プロ野球関連の会社ができるという可能性だってありますしね。それもこれも自分たちがどれだけ女子プロ野球を盛り上げられるかによりますね。だから今は、今を精一杯やることしか考えていません。(笑) 自分達が新しいものを作っていける立場です。そこを楽しまないといけないんじゃないかなって、そう考えると楽しいでしょ?心が折れてしまわない様に「些細なことを楽む」様にしています。

あと、確かに後輩がくると全体的にいい刺激になりますね!今回の新人が入ってきましたが「今年の新人いいね~!」って新人を褒めすぎて「私ダメだ~」って悔し泣き出しちゃう子もいますし。(笑)それ位負けず嫌いな子も多く、チーム内でもいい争いになりますし、本当にいい刺激ですよね。皆がプレーで爆発してもらえたらと思います!(笑)

---確かに新人に教えることで再確認できますから自分の力になりますね。

■監督も新たに指揮を取られていますが変化はありましたか?


河)監督の影響は大きいです。本当に素敵な方です。母親に聞いて監督がすごい方だったと知りましたが、私たちの年代は名前も知らなかったんです。(笑)知らなかったよね?

川)はい…笑 なので「わぁ!佐々木さんだ!!」という先入観は一切なく“監督”という感じで、純粋に尊敬しています。


河)本当に、偉そうにしないし、選手一人ひとりを見てくれていて、プレーし易い環境を
作ってくれていますからそこをしっかり受け継ぎたいとも思っています。本当に最高の“監督”です。

---皆さんが心底、野球を愛していて、根本の考え方が組織全体に行きわたっているというのは素晴らしいなと感じました。私たちも働き方を変えて行かないと!と感じますね。

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