2010年7月10日土曜日

仕事は何のため?自身の価値観に向き合うことが重要



仕事は何のため?自身の価値観に向き合うことが重要

今でこそ「ワークライフバランス」と言う言葉が当たり前になっていますが、ほんの少し前までは仕事を続けるのであれば仕事。家庭に入るなら家庭と。選択肢は物凄く限られていました。しかもその選択は女性限定の課題。やがて、時代は結婚しても働くのは当然と進化し、今度は出産、子育てのハードル、さらに介護問題へと悩みの種は尽きません。
でもそんな中で、幸いずっと仕事を続けてこれて、おかげさまで自分自身の揺ぎ無い価値観を養えたことが1番大切なことだったように思います。

私の場合は「プライベートの人生の輝き!」であって、仕事は自分の人生を活き活きと輝かせてくれる要素であり、同様に家の仕事も自分の砥石。趣味のゴルフやマラソンも研磨剤。様々な宴会の幹事や世話役も好きだから続く。

決して仕事の為にだけ生きている訳ではないという自身の価値観の獲得と確立こそが仕事を通じての大きな財産だと感謝しています。その背景として挙げられるのは人事部時代の体験でしょうか。

当時は自分よりも年齢やキャリア、役職が上の方を対象にした研修
企画やその運営にも多く携わりましたが、ショックだったのは仕事一筋に人生を送ってこられた先輩が「会社に人生を捧げたのに」とか、「自分の青春を返して!」みたいな発言をされることでした。気持ちはわからなくもありません。

でも、それは違うのではないかと、30代半ばの私は強烈に考えさせられました。人生に満足していないことを会社や仕事や、誰かのせいにするのは絶対におかしい。私は仕事を続けたことをいつか後悔したくないし、ましてや他力本願モードの不満など口にしたくないと強く思いました。
やがて、それは折角の人生を楽しまないともったいないという考え方につながり、「仕事」は人生を輝かせる為のものであって、自分を追い詰める為の物ではないと思い至りました。





制度は骨組み。そこにしなやかな筋肉を育むのは現場の力

組織に存在する様々な「制度」は、国の政策と同じで、大局を見据えた中で作り出されるが故に案外、現場のニーズとは乖離しているものです。
だって、当事者ではない人がこの様な制度があれば良いのではないかと智恵を絞ったものですから仕方有りませんよね。もちろん、制度がなければ職場環境の変化、革新は実現しなかったと思いますが、本当の変化は日々、実際に動いている中で、ひとりひとりの気持ちや行動を通して、それが職場の習慣や風土として、積み上げられてゆくのではないでしょうか。

その意味では自分の記憶として「この制度があってよかった」とつくづく思うことはなく、元人事部の一員としては残念に思う一方で、そこに社会の根本的な課題の香りを感じざるを得ません。
実際、育児にまつわる制度を利用して、早く帰るとなると少なからず周りの負担が増えるのは否めません。
けれど、そのために利用する側が肩身の狭い思いをするのは理不尽ですし、かといって、当然の権利であると主張が勝ちすぎれば、周囲の不満は増幅され人間関係に深刻な陰りをもたらします。

制度を利用することでそんなマイナスが生じない様な、調度良いバランスを見つけ出すためには、何千件、何万件という現場での実績が必要なのだと思います。

最近、様々なメディアでも紹介されていますが、日本理化学工業(株)は [50年以上に亘り、チョークを製造している中小企業で、全体の70%以上が知的障害のある社員とのこと]ここでは、身体障害者がきちんと役割を持ち、立派に企業の一員として貢献しておられます。

そこには法定基準の何%雇用を遵守するためという目標はありません。まさに課題に向き合う思いや姿勢が行動を左右するという現実に驚かされます。

そして社会における【本音と建前】は違う!という奇怪さが遂に本当に変わり始めた気配を感じさせます。【言うは易し、行うは難し】自分に出来ることを貫く決意に、心強い事実です。




取材からの学び 



――  私たちは、バリバリと働き続ける女性像に憧れ、社会人になりました。けれども、就職活動中の女性営業職の枠は、ほんの一握りであることが疑問でなりませんでしたし、女性の能力が発揮できる場所がないのは企業側の理解がないからだとも思っていました。
今回お話を聞いて、問題は企業側だけにあるのではなく女性側にも問題があるのだと気づきました。
また、女性側の仕事に対する考え方を変えるには、仕事はプライベートを輝かせる為のツールとして捉えることが大切だとも感じました。
仕事へのやりがいを感じることができれば、プライベートが充実していないことを会社や仕事のせいにしてしまうという考え自体がなくなると思います。
制度面では、制度がたくさん確立されているのになぜ活用されていないのか、利用者側も権利があるのに主張をしないのはなぜか、と疑問でした。
しかし、今回の取材を通し、まずは、人間関係が形成されていなければ、実際に制度を利用することは難しく、利用したところで、周りからも好意的に受け止められないということがわかりました。
制度に関して企業は、建前で取り入れているのがほとんどで、本質的には何も課題解決になっていないのだと思います。
お話にあったように、障がい者雇用については、大企業を中心に障がい者の雇用は年々増加しているものの、1.8%の障がい者雇用率を達成している企業は4割程度と厳しい状況であるのが事実です。
これも制度だから、法律だからと導入するのではなく、お話にあった日本理化学工業のように、個々の存在を認めそれぞれの能力を活かせる環境をつくり、互いの関係性を築ける組織作りを行うことが最重要だと感じました。
私たち自身もこのような環境づくりや組織づくりを行っていくために、会社側に期待するだけでなく、一人ひとりが課題に向き合っていく姿勢を作っていくことが必要だと感じました。



(2010年6月16日現在)

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