2011年3月30日水曜日

自由の中の厳しさ


―― 今回は堀場製所の野崎様に続き、管理本部の副本部長 山下泰生様にもお話しをお伺いし、より深く、濃い堀場製作所様の一面を体感してきました。

野崎様とお話しさせていただいたときと同様、山下様は、とても物腰がやわらかく、時には笑いを交え丁寧にご対応下さいました。本当にどこを向いても、見ても、素敵な方々が働かれている暖かい企業だなと感じましたし、本当に仕事ができる人は、何のおごりもなく、真摯に人と向き合える方なのかなと感じました。

堀場製作所様では、部署内はニックネームで呼び合われており、〝おもしろおかしく″の精神をモットーに、しっかり信頼関係を築かれていました。“信頼を得ること・与えること”の大切さを改めて学んだように思います。

堀場製作所様では一人ひとりがしっかりと現状を見据え、自由さの中の厳しさ、責任の重さを感じたように思います。自分自身に少しも責任感を感じない仕事では人は育ちませんし、意欲もわいてこないと思います。そのように社員がイキイキと働けるためのちょっとした仕掛けをあちこちに用意し、自分スタイル、HORIBAスタイルを確立され、各々がメリハリをつけ働かれているお話しをお聞きし皆さんの充実感と主体性を強く感じました。

現在、働く意識の問題はどの企業でも課題に上げられますが、勢いのある企業は働く社員一人ひとりが目標意識を具体的に持ち仕事に取り組まれています。どんなに困難や課題が目の前に山積みにされても周りや他人のせいにし、目を背けるのではなく、まずはその課題に向き合い、「何としてもやる」と挑戦意欲を持たれているなと、山下様の言葉の端々から伝わってきました。

今回の取材を通し、何も考えずにただのうのうと日々を過ごし、与えられたことのみをこなす、またはやらされ観を感じながら働く、その時間がいかに無駄で、人生をもったいない物にしているかと考えさせられたようにも思いました。お話の中で、「最近は、採用面接でも女学生がしっかりしていて、学生時代から将来こうなりたいなど目標を持っていると感じることが多いです。

ただ、入社後の伸び率で行くと男性社員の方がすごく伸びます。」とお話しをされているのを聞き、確かに仰る通りかもしれないと感じました。どこかで女性は、早い段階で自分のキャリアプランを良くも悪くも頭の中で描いているのかもしれません。また、周りの環境に大きく影響を受けやすいようにも思います。いかに入社当初のモチベーションを維持し仕事に取り組んでいくか、それは会社での仕組み作りによっても大きく変わるかもしれませんが、何よりも一番大切なのは、自分自身の意識だと感じました。

会社の取組みや、制度はあくまで背中を押すためのツールにすぎないということをしっかり意識し、仕事に取り組むこと、またほんの少しの仕組みがあるだけで、やりがいは何十倍にもなるのだと感じました。はやく私自身も「ウエダ本社」らしさは何であるかを腹落ちさせ、ホリバリアン(HORIBAグループ従業員の総称)ならぬ「ウエダマン」(ウエダ本社の総称)の名にふさわしい、良い意味で会社人間になりたいなと思います。

2011年3月29日火曜日

360度のサポート そして 自由さの中の厳しさとは


―― 先程、野崎様にもお話しをお伺いしましたが、またお会いしたい!と思う程、素敵な方が多い会社だなと感じています。

■山下様ご自身が働かれていて、まさに御社の社是「おもしろおかしく」だなぁと感じることはありますか?


管理本部 副本部長
秘書室長 兼 総務部長
山下 泰生氏
そうですね、基本は“自由”な所ですかね。しかし、自分勝手とは違います。結果を出すまでのプロセスや方法は、個人に任せていますし自由ですが、しっかりと結果を出すことが重要で、逆にそれはすごく個人に責任のあることだと思います。

自由の中にある厳しさでもあります。ただ、それ以上に一つの仕事に対してやりがいを持って働けると思いますよ。全て指導されないということは、自由でもあり一方で厳しさも同時について回ります。

万が一うまくいかなくなった場合でもしっかりと自分で考え、処理し責任を取る、その失敗を痛いと感じられる会社でもあると思います。私はそれもひとつのやりがいかなと思います。本当に“自由さ”を一歩間違えると本当に恐ろしいことになってしまいます。
ですから、もちろんその責任を各々が意識し、自覚を持って、自主的に動くように、目標達成を約束します。

しかし、万が一結果が出なくても、一方的に結果が出なかったことを責めません。その結果に至るまでのプロセスが大切で、どれだけ努力したか、目標として掲げたことはそんなに軽くはないだろう、とそこを自覚してもらうことが大切だと思っています。

目標達成に向けては自由に自分で考えることが与えられていますが、結果が問われない自由ではないんです。ひとつひとつのことをきちっとしていくことですね。すごく面白いですよ。あとは、何をする際でも一番に考えるのは「HORIBAらしいか」、「おもしろおかしいか」ですね。同じことでも必ずアレンジを変えて、二番煎じではなく、オリジナルを考えること、それが当社のスタンスですし、物事の根底にあります。

例えば、社内改善活動とかあるでしょう?当社でいうと「Black Jack活動」なんですが、「改革活動」のように堅い響きではなく、活動内容が同じでも「Black Jack活動」という名前を付けます。それだけでイメージは大きく変わりますし、その方が面白いでしょ?どこか親近感を覚えるというか。社内でも「BJやってる?」なんて声も上がりBlack Jack活動のことを「BJ」と呼ぶくらい、馴染んできていますよ。(笑)


何が正しくて間違っているのか、良い悪いは別としても“その会社らしさ”はすごく大事だと思います。企業の方針やカラーによって違うと思いますし、他社さんの情報を参考にするのはいいけれど、下地が異なりますし、同じでは面白くないですよね。ほんとにおかしな会社だなと思っています。(笑)


―― なるほど!確かに言われたことをするだけでは面白くないですね。まさに「おもしろおかしく」イズムですね。やはり堀場製作所様は社員を大切にされていて、360度、どこから見ても社員様を支援されているなと感じました。

■御社の様々な取り組みの中に“フェミニンサポート体制”という女性支援の体制も整えられていますね。きっかけは何ですか?


女性が働き続けるには以前より改善されてきたとはいえ、男性よりも様々な問題が絡んでくると思うんです。妊娠、出産、育児など・・・その中で、少しでも何か支援できないかと思い、産婦人科医の先生に相談させていただくと先生の方からもお手伝いできたらとおっしゃっていただけたので伊藤病院様とコンサルタント契約を交わすことになりました。

伊藤病院様は子育て支援やチャイルドシート普及活動など積極的に行なわれているんですよ!2004年10月から提携スタートし、6年ちょっと経ちました。年に2回、女性特有の病気や妊娠、出産などテーマは様々ですが女子社員対象の一時間程度のセミナーを伊藤病院の先生に開催していただいています。4月には新入社員に制度を知ってもらうきっかけとしても必須で受けてもらっています。また、全国テレビ会議システムを使いどこの事業所でも受講可能な環境は整えています。

また、HORIBAグループ従業員であれば誰でも利用可能な専用HPがあり、無料メール相談と特別診療日を設けています。毎月1回、日曜日にHORIBAグループ診療日があり、  HORIBAグループ従業員のみが診察できる日があるんです。本人限りではなく社員の家族も受診可能です。ネット上でしっかり予約もできますから無駄な待ち時間もないですし、日曜日でも休日診療扱いではないんですよ。

やっぱり、働きだすと病院に行くにも日曜日しか動けませんし、ナイーブな問題なだけに周りにも簡単に相談もできませんよね。その点、メール相談にしても伊藤先生から直接返事が返ってきますし安心感が違うのではと思っています。


―― すごいですね!本当に知識があるのとないのとでは全く違いますし、会社からのサポートがあるのは本当にありがたいですね!

■利用状況はいかがですか?


正直、スタート当初は利用状況はあまり良くなくて、休みなしで日曜日まで開院していただいているのに申し訳なくて先生に謝っていたくらいなんですよ。今では、口コミで広がり、安心感もあり、利用率は高くなっています。何よりも、本当に親身になって相談に乗っていただけますし、先生のお人柄もあってこそだと思っています。

実際、どなたが利用されているかは私もわかりませんので、個人情報はしっかり管理されていますよ。ただ、病院もすごくきれいで出産にも快適だとの声は上がっていますし、産科で受診し、そのままの伊藤病院様で出産されるケースもあるようですね。ここまでやってこられたのも伊藤病院様のおかげですし、本当に感謝しています。

お世辞もあるとは思いますが、ありがたいことに伊藤先生からも、「HORIBAグループの人を診るのは受け答えもしっかりしているし、話しも早いので安心できるしありがたい」と言っていただいています。とおりいっぺんのサービスならできるかもしれませんが、ここまで親身に対応をしていただけるのは個人レベルでの信頼感がなければできないことですよね。


―― 本当に素敵ですね。そういう社員さん、社風であるから先生も協力して頂けるのですね!



■お話しをお聞きすればするほど、御社はもう何も課題がなさそうに思うのですが、今後力を入れていきたいことはありますか?


そうですね、弊社ではどんどん色んな取組みがあって、それが当たり前になりすぎていて、それらに対してのありがたみが少しずつなくなってきているのではないかなと少し懸念しています。しっかり結果を出し、利益が出ているからこそこうしたサポートもできるので、そこをしっかり意識していただきたいと思っています。

あとは働く人の意識の問題ですかね。最近は、採用面接をしていても女子学生が非常にしっかりしていて能力があって素晴らしいと感じています。最近の男子学生は女子学生と比べると学生生活を目的や目標意識がないままに過ごしている人が多いように思います。女子学生の方が学生時代から将来こうなりたいなど目標を持っているし、全く違うなと感じることが多いですね。

ただ、入社後の伸び率で行くと男性社員の方がすごく伸びます。女性社員は全員が全員ではありませんが、たとえば、営業したいと入社しても、前線に出て働くことよりもアシスタント的な仕事をする方向に本人の意識も変化して行っているように思います。確かに文系出身者が、当社の製品を覚えるのはすごく大変かもしれませんが、そこを乗り越えるくらいの意欲とモチベーションの高さは常に持っていて欲しいと思います。会社としてもサポートしますが、やはり重要なのは制度だけではなく、本人の仕事に向き合う姿勢だと思います。

―― 本当にそうですね。仕事に向き合う姿勢、一番大切ですね。

■山下様とお話しさせていただき、すごくモチベーションの高い方だなと感じましたが、仕事が嫌になったことはないんですか?秘訣を教えてください。


ありがとうございます。笑 全然そんなことはないですが、あまり嫌だと思ったことはないです。性格的にも寝ると嫌なことも忘れてしまいますし、これは両親に感謝ですね。笑
とにかく悩まない様にしています。いくら考えても結局直感で右だと思ったら右で、自分の答えは変わらないですし、「即断即決!まずはすぐやってみる」がモットーですね。でなければ、3日考えてから行動し、変更となるとそれだけでタイムロスですしね。

やはり、そのためにはできるだけ正しい判断ができるように社内外の多くの情報を仕入れ、多くのことに興味を持っておかなければと思っています。また、企業理念と事業活動は一体でなければおかしいですよね。仕事を進めるベースに企業理念があり、その理念に基づいて会社によって仕事の進め方が変わってくるのではないでしょうか。

私もHORIBAグループの企業理念をベースにホリバリアン(HORIBAグループ従業員の総称)をどうサポートしていくか、HORIBAらしさを出しながらこれからも考えていきたいと思います。



(2011年2月3日現在)

2011年3月25日金曜日

本当にいい会社に入れてよかった。


取材を終えて


―― 野崎さんにお会いする以前から、多くの企業の人事部の方々から「憧れの存在」「カリスマ人事部」とお聞きしていました。実際にお会いしお話しさせていただきましたが数分もたたないうちに私たちも野崎さんにすっかり魅了されました。
そうお伝えすると野崎さまは「きっと、白黒はっきり言う点と、気楽さがきっと受けているんではないですか?(笑)
昔から楽観的で、呑気でいいねって言われていました。(笑)」と笑顔でお話しされていましたが、“やる”と決めたら様々な工夫を凝らし、仕事の中に楽しみを見つけ出し成果を生み出されている方なのだなと強く感じました。
空気を和ませながら要点を捉え、イキイキと話をされる姿に頭の回転の速い方だと感動し、相手に対する気遣いもピカイチで、とても美しく同時に逞しささえ感じたほどでした。
「今日は何して遊ぼう」とお聞きし、私自身、仕事をしに会社に行くという考え方自体に主体性もなく、悪い意味で“企業人、仕事人間”になっていたのだと気づかされ、「本当にいい会社に入れてよかった。ラッキーでした (笑) 」と野崎さんのように笑顔で語れるようなそんな大きな企業人になりたいと感じた取材でした。

堀場製作所様は社員一人一人を大切にされ、大企業であっても隅々にまで目が行き届いている、包み込まれている様に感じました。最近はよく社員の「自発性、主体性がない」と課題になっていると聞きます。そんな中でも、堀場製作所様では一人ひとりがしっかり発言できる場を仕組み化されていて、社員の考える力を延ばしていく取組みを多くされている企業様であると感じました。
記事では書けませんでしたが新人育成の一環として、新入社員が原価計算や会場レイアウトなど、企画から運営まで担うという取組みを行なわれているのです。また、新入社員の声や行動を目にし、ついにトップまでを動かせてしまう程の社員同士の距離の近さと行動力にも驚きました。ただ、何かを欲するのではなく、自分から何かを与えることを考える、そんな発想の転換がすごく大事なのだと強く感じました。

この取材活動をスタートしてから早8ヶ月が経とうしています。この取材を通し、多くのことを学んできました。しかし、今回の東北地方太平洋沖地震の連日の報道の中、自分自身の小ささ、無力さを感じました。また、11歳の女の子が「今までの自分が贅沢だったんだなと感じました。」としっかりと明日を見据えた強い目をして話す姿に、今自分が置かれている状況がいかに贅沢で尊いものなのか、ということをあらためて学び、これまで多くのことを学んできたはずなのに、まだまだ自分自身の意識は変わっていなかったのではないかと思いました。今自分自身ができること、そしてしなければならないことは何か、しっかり考え、これまで学んできたことを念頭に置いて、自分の出来ること、すべきこと、したいことを考え、全うしなければと感じました。最後になりましたが、この度の東北地方太平洋沖地震で被災された皆さまに、心よりお見舞い申しあげますと共に、皆さまの安全と、一日も早い復興をお祈り申し上げます。

2011年3月22日火曜日

「“今日は何して遊ぼう”と思いなさい」


■野崎様とお話しさせて頂き、すごくたくさんの事をご存知で、自分自身も野崎様の様になりたいと感じたのですが、どのようにお勉強されているのですか?


京都は勉強できる場がたくさんあるんですよ。土日や平日の夜に、講演会や講義に気楽に参加しています。仕事以外の雑学系ですが、自分の仕事とは全く関係無い方がヒントになったりしますね。「成果主義」がもてはやされ、それって一体何なのかと考えていたときに、京都大学の市民講座で国際政治の中西教授から「自由主義」のお話を聞きました。「自由主義は、絶対主義や共産主義のアンチテーゼではあるが、自由の中見が定義されていない。反対勢力が弱まって、“自由”だけが独り歩きしている状態に陥っている」と仰ったんです。その時、成果主義と一緒だ、年功序列や労働時間偏重のアンチテーゼだと思えば、「成果主義」という言葉に振り回されることはないと気づきました。けれど、そんなことは人事の本には書いてないんですよね。


―― 確かに違う角度からの話を聞くと見え方も変わりますね。




■野崎様が人事部で仕事をしてきてよかったなと思うときはどんな時ですか?また入社当初からずっと、仕事に対するモチベーションが高かったんですか?


同じ話を聞いていても感じ方、受け止め方は人によって違いますし、それがいいと思います。自分の共感できることを積み重ねて、新たな自分の価値観にしていけばいいんじゃないでしょうか。
私自身についていえば、こんなに長く勤めることになろうとは夢にも思いませんでした(笑)。ホリバコミュニティという福利厚生の別会社の第一号社員として採用してもらいましたが、ほとんどアルバイト気分でしたね。「えっ、採用面接あるんですか?!」くらいの感覚だったので。(笑)
ですから、やりたいことも別にないし、仕事が面白くないと思うこともありました。「一つも面白くない」と先輩に言うと「それなら会社行く時は“今日は何して遊ぼう”と思いなさい」と言われました。コピーを取って遊ぼう、お茶汲んで遊ぼう、もちろんアフター5にご飯食べて遊ぼう。最後に“遊ぼう”をつけると気分は変わりますよ(笑)

仕事面では副社長から「堀場では本を二冊読んだら専門家の顔ができるぞ」っていわれました。もともと人事の仕事は学生時代の専攻と異なっていたのですが、「そういうものか!」って納得し安心しました。自分に都合のいいことだけ聞いているものですね(笑)
仕事上で恵まれていたのは、プロジェクトの事務局が多かったことですね。女性は結婚退職が普通で何年働き続けるかわからないという時代でしたから、人事制度や原価計算のプロジェクトなど、半年から長くても二年ほどで完成させて、ルーチンに引き継ぐことが多かったです。事務局といっても、議事録をとったりコピーをとったり、本を読んで調べたり、日々のルーチン作業と変わらないのですが。そのうちに辞めそうにないから‥と人事のルーチンを担当している状況です。(笑)
制度や仕組みがあって良かったと思ってくれる人がいると、仕事をしてよかったと思います。後は・・・目に見えて業績が上がった時ですね。(笑)もしお客様から、いい製品を作っている いい会社ですねと言われる機会があればすごく嬉しいですね。

―― 野崎様が働き続けるつもりがなかったなんてすごく意外です。要は「ものは捉え方」次第で、全く異なってきますね。まさに「おもしろおかしく」ですね!

■御社はもう課題はないのではないかと感じますが、今後は力をいれていきたいことはありますか?また、最後に働く人にメッセージを下さい。



入社の志望動機に、「自分の思いがすぐに叶わないかもしれないが、HORIBAは思いを言うことが許される会社だと思う」といった学生さんがいました。そういう会社だと見込んでくれたのなら、その思いを裏切りたくないですし、堀場製作所は思いを自由に言える会社でありけたいと思います。面接していると見えなかった部分が見えたり、勉強になってラッキーですよ。課題はヤマのようにありますよ。

基本的に人事の仕事は、「社員に貢献する」、「組織に貢献する」、「ビジネスに貢献する」ことだと考えています。「社員」の皆さんには、退職するときに「HORIBAで働いてよかった」と言ってもらいたいし、「組織」については良き管理職を輩出して、人を育て人が育つ組織を創りたいですね。
また人事の「ビジネス」は業績を担い、次のビジネスを展開できる人財を供給することになるでしょうか。
おかげで HORIBA COLLEGEという専門教育は、一年間のプロジェクト活動を経て、会社中がお互いに学び合おう、教え合おうと動き出し、定着しつつあります。これからはビジネスモデルを創る意識やスキルを根付かせたと思っています。得意のトライアル方式で進める予定です。
メッセージですか…個人的には「明日は明日の風が吹く」です。入社時の指針が「今日は何して遊ぼう」でしたから、本質は変わっていないのでしょう。
もし、働く人に贈る言葉を選ぶなら「人生やって無駄なことはない」です。新人さんに教えてもらいました。とても共感しましたし、元気になりませんか。
―― ありがとうございます。確かに、うまくいかないとつい諦めてしまい「無駄な時間を過ごした」と思ってしまいがちですが、そうではないんですね。「人生やって無駄なこと無し」。本当に勇気を頂きました。ありがとうございました。
(2011年2月4日現在)

2011年3月18日金曜日

「やじろべぇは左右に揺れながらバランスをとっているから倒れない」


―― 多くの企業では社員同士のコミュニケーション問題というのはどこの企業でも問題となっていますが御社は全く違いますね。

■HPで拝見しましたが、大手企業では珍しい全体朝礼があるんですね。



全体朝会は月2回行います。全員で社歌を歌い、役員講話を聞き、ときには新入社員の紹介や表彰などを行っています。社員ひとりひとりが発言することはありませんが、最新の情報や経営の思いを自分のものにしてもらう、会社の方向性に共感してもらう場という感じでしょうか。

社員の声をすくい上げる場は、先ほど申しあげた目標設定や評価結果のフィードバック面談、ほかに自己申告の制度を持っていますが、普段から距離感を縮めておかないと、本音で話し合うことは難しいものです。職場で仕事の話をするのは当たり前ですが、雑談ができる時間をどう作るかが大事ですね。

社内研修では、直接の上司でない管理職がグループワークのトレーナーを務めたり、役員がスピーチする時間を作っています。役員や管理職には、仕事以外に自分のキャリアを話してもらうよう依頼しています。30代の人に話をするときは、その頃自分は何をしていたか、何を考えていたか、悩んでいたか‥。その人の背景がわかると、普段は厳しい役員さんでも一気に親近感が増すと思いませんか。
具体的に自分のキャリアについて考えるヒントにもなりますし、これからどのように社会に貢献していくかを考えるきっかけにしてほしいと思います。

―― 確かにその人の背景が解るのはすごく大きいですね。 やはり人とどう付き合っていくかが最大の課題なのかもしれませんね。難しいようですが本当にちょっとした取り組みで変わるんだなって感じました。例えば女性は特に働く環境次第で働き続けたいと思ったり、逆に家庭と仕事を天秤にかけて仕事を辞めたいと思うことがあると思います。

■その点で御社はどのような工夫をされていますか?


本当にちょっとした仕掛けでも、随所に作っておけば変わると思いますよ。
長い人生ですから、介護や子育てなどに忙しい時期は男女問わず必ずあります。そんな時、少し仕事の手を抜いてくれたらいいなと思います。
当社の最高顧問が「やじろべぇは左右に揺れながらバランスをとっているから倒れない」と話していました。やじろべぇのように、今は子育てと家事を大切にするとき、今は仕事に全力投球するとき、配分は2割と8割等々、その時々に意識していければいいと思うんです。仕事も子育ても両方とも手一杯しようとするとしんどくなりますから。
短時間社員制度をつかうなら、6割の時間の中で一生懸命働いてね、お給料は時間比例で減らすから気兼ねはするなって。(笑)

今は少子化高齢化の時代ですから、自分の両親と配偶者の両親の4人を夫婦で看るケースが増えるでしょう。子育ては期限が限定され先が見えますが、介護は先が見えません。
介護休業制度も今は看取りの3ヶ月間です。長期戦になれば、会社を気分転換の場所にするくらいでないと心も身体も持ちません。ワークシェアで週3日だけ会社に来てもらうなど、フレキシブルに働けるそんな場にしたいなとも思います。お互い様ですから。
人事でもチームリーダーの男性が育児休暇を取得者しましたが、時間が限られている分、集中力が増し、すごく仕事の効率が上がると実感したそうです。
6時間で帰るには、仕事も生活もうまくマネジメントして効率良くこなさなくてはなりません。短時間制度を利用してきた社員が、続く世代に「先輩たちが頑張って今の仕組みをつくってくれたのだから、安易な気持ちや権利意識は持たないでほしい。次の人に伝える覚悟をもって‥」と話していたと聞いて本当に感動しました。(笑)


仕事の報酬は給与や昇格だと考えがちですが、休暇も報酬だと思います。育児休業や短時間社員制度も、今まで自分が頑張って働いてきた報酬だという自信があれば伸び伸び取れますし、実際に周りもサポートしてくれますよね。法律やルールだけではうまくいきません。「早く復職してほしい」と思われる社員でいて欲しいと思います。
育児休暇の復職一カ月前に一度社に来てもらい、健康状態や復職後の勤務形態の希望、担当してもらう仕事などについて上司と面談してもらっています。事前に顔をみておけばお互い安心ですから。育児休業中、スキルが落ちないように勉強していただくプランをお持ちの会社もありますが、それはどっちでもいいと思います。やる気と時間のある人は用意しなくても勉強しますし、育児や家事で手いっぱいで余裕のない人もあるでしょう。
当社の制度は法定を大幅に上回るものではありませんが、お互いに声をかけあったり、気づかいできることが大事だと思います。ハードも大切ですが、ソフトでカバーできることもたくさんあると思いますよ。

―― なるほど・・・確かにそうですね。ちょっとした仕掛けづくりが大切ですね。

■自分自身で考える機会を仕組化されているなぁと感じますが、他に何か取り組まれていることはありますか?



1997年から業務改善活動「Black Jack」に取り組んでいます。形にとらわれず何かを変えようとする全ての活動の総称です。活動の名前は社長が付けました。カードゲームのブラックジャックは“21”が最強ですね。それにちなんで「21世紀最強企業を目指そう」という思いが込められています。
仕事の中には、反射神経だけで処理できる仕事も山ほどあります。でもそれだけでなく、創意工夫、独自性や思いなど、プロセスを自分なりに演出できたら楽しいし、たくさんの仲間を巻き込めれば大きな力になりますよね。

例えばBlack Jack活動から、マナーアッププロジェクトが会社を挙げて始まりました。新入社員研修でマナー研修を受けた新人さんから「配属先の先輩が挨拶してくれません」との声が上がりました。下手をすると自分たちも挨拶しなくなるものですが、「自分達が挨拶運動をします!!」といって正門の前に立ち始めてくれたのです。業績が良くない時でしたが、「こういう時こそ胸を張って挨拶をしましょう」と翌年3月から副社長にリーダーをお願いしてマナーアップの全社プロジェクトがスタートしました。

全社朝会で挨拶のレッスンや、ペアになって身だしなみチェックも行ないました。社長も自ら舞台に上がられて、ニコニコと「頭髪は乱れていませんか、ネクタイは曲がっていませんか?」と相互チェックに加わって頂きました。普段は言いづらいことでも、こういう場を借りれば伝えやすいですし、最後に「感謝の気持ちを込めて握手しましょう」とちょっとした工夫をすることで雰囲気は大きくかわりますよ。社員からも普段話したことがない人とコミュニケーションを取れてよかったという意見もありました。マナー強化月間や○○週間などテーマを決め、ポイントは特にここ!と決めて行ないます。
現在は、ビジネス文書や会議の進め方も含めたビジネスマナーを教育体系に組み込んで定着を図っていますが、新入社員による挨拶運動は次の年にも引き継がれ3年間続いています。

―― 新入社員の声に会社全体が動き、副社長自ら行動して下さるのはすごく力になりますね!

■プロジェクトを開始時は何かご説明されるんですか?
業績が悪い時には取り組みがなかなか進まない場合もあると思うのですが御社はいかがですか?


元々マナーを大事にしようというのが経営トップを始めとするHORIBAの考えですね。挨拶運動はお金も時間もかかりませんし、簡単にできることです。どうせなら、管理本部から強制されるより、新人の活動をみて皆で応援しようという気持ちになるほうが素敵だと思いませんか。何かをやりたい人がいるのなら、会社の仕組みを知っている者が進め方の道筋を示し、少し背中を押せばいいと思います。各部門から将来期待できる人をプロジェクトに推薦してもらうようにすると、活動のモチベーションが上がり、成果があがる。若い時の成功体験は大事ですし、プロジェクトなら期間を限定できますしね。

一見業務そのものとは関係無いようですが、海外ではマナーがなっていないと誰からも相手にしてもらえないといいます。当社の研修所では、ベットメイキングは自分で行ないますし、洗面所も使ったあとは水滴を拭きとることをグランドルールにしています。次の人に気持ち良く使ってもらう気持ちがマナーの基本ですから。

―― 少し背中を押す、また説明しなくても皆が取り組もうとする姿勢や風土がすごく素敵ですね。

(2011年2月4日現在)

2011年3月15日火曜日

「堀場製作所は西部劇と一緒だ」

―― 今回の取材先は、日本で初めてpHメータの国産化を実現したパイオニアの株式会社堀場製作所様です。社是は〝おもしろ おかしく″という、「一人ひとりが人生の大半を占める仕事を最大限に楽しもうとする」精神で有名です。

そして日本を代表する国際的大手メーカであり自動車や半導体産業をはじめ多彩な製品を世界各国に送り出しされ未来の豊かな社会づくりに貢献されています。
それだけではなく働きがいのある企業風土のもとユニークな社員に対する研修やイベントをされています。そこで、株式会社堀場製作所 管理本部 人事担当副本部長 野崎 治子様に企業風土についてのお話をお伺いしてきました。
野崎 治子氏
―― 御社は社是の「おもしろおかしく」をモットーに、社員の自主性を伸ばす取り組みをされていらっしゃいますよね。

■社内風土として定着し社員全体が自主的に行動していくのはなかなか難しいと思うのですが、野崎様がご入社された当初からずっと現在の様な社内風土ですか?


入社当時に、先輩から「堀場製作所は西部劇と一緒だ」と教えてもらいました。カウボーイは西へ西へと進み、自分の気に入った牧草地を見つけたら杭を打って有刺鉄線をはり、自分の牧場にする‥、「やります」と言えば何でもさせてもらえる会社だと言われました。
もともと学生ベンチャーからスタートした会社ですから、“チャレンジ”や“思い”を大切にしていると感じることはよくありますね。

例えば、わが社には公募制の海外研修制度があります。海外関係の業務を担当している社員だけではなく生産部門や管理部門など、誰でも受験のチャンスがあります。指名を待つのではなく自ら「行きたい!!」と手を挙げた人から研修生を選べば、チャンスを活かそうと自分で勉強してくれますし、少しでも多くのものを得て帰ってこようとしますよね。 


会社ですから、チャンスをものにできるかどうか本人次第です。一定レベルの語学力は必要ですし、「現地で仕事をすることで、こんな貢献ができる。」「帰国してからこんな貢献ができる。」という思いがあるか、社長や役員との面談で伝えてもらっています。

海外研修制度も10年前から枠を3名から10名に広げてもらいました。お金はかかりますが、海外子会社で1年間仕事をすることで本社の動きを客観的に見ることができます。得てして現場を見ないまま机上で物事を考えてしまいがちですが、外へ出ることで良い点や至らない点を理解して新たな行動が始まれば、とても意味のある経験になりますよね。

毎年20人前後が応募しますので、半分は不合格です。他社の方から「面接で落ちた人はモチベーションが下がるんじゃないか」と聞かれますが、当社では一度や二度、落ちて当たり前なんです。「去年と比べて何が成長した?」「それはですねぇ…!」なんてお互いにニコニコしながら話していますし、合格しなかった人には社長から「あなたのチャレンジを評価します。ぜひ再チャレンジしてください。」とのメッセージが届けられています。

―― すごく素敵ですね。不合格だった場合は落ち込んでしまいますが、フォローがあると全く違いますね。去年のチャレンジを覚えて頂いてることも嬉しいですし、挑戦してよかった!と思いますね。御社は「個人」をしっかり見ているなぁとすごく感じます。
他にも御社は誕生日会など社員を大切にされている取り組みもありますね。不況時は経費削減が見られますがすごく社員を大切にされていますね。

誕生会は “社員と経営トップとの社内コミュニケーションの場”ですから、他の経費を削っているときでも続けてきました。経営トップにとっては、直接自分の思いを伝える場ですし、「活力があるな‥」「うまくいっていないことがあるのだろうか‥」等、プラスαともいうべき社員の士気や思いを肌で感じる場になっているようです。

社員同士も、仕事以外の付き合い、いわばのりしろ部分のコミュニケーションがないと、良い商品は生まれません。数年前にあるビジネス誌に「日本一宴会が多い会社」と紹介されました。

当社では「目標設定」をコミュニケーションツールとして運用しています。「何を期待しているのか」「何をやりたいか」「何ができるか」のすり合わせを行なうわけですが、会社や組織の方向性がわかっていないとうまく働けません。

部やチーム単位でミーティングを行なうことで、誰が何をどのようにするのかを明確にして、仕事が抜け落ちたり、一人が仕事を抱え過ぎることを防ぎたいと思っています。全社でミーティングはできませんので、個人目標をイントラ上に公開しています。
他部署や他者の動きが見えますから、準備をしたり手伝ったり、お互い見せ合うことでできることの幅も広がりますよね。

元々は、経営計画をブレイクダウンするために導入しましたが、「自分のしていることが経営にどうつながっているか、会社に貢献できているのが分かるから嬉しい」との声を聞いたとき、そういう観点もあったのだと勉強になりました。

―― モチベーションを上げる仕組みが細かくあり、すごく働きやすい環境ですね。やらされ感ではなく、自分がいかに会社に貢献できるかという気持ちが生まれるのが素敵ですね。

ありがとうございます。人事の制度や仕組みは、クライアントつまり社員の声を聞きながら良いものに作りかえていきたいと思っています。社員のやる気をそぐようであればやめればいいし、フォーマットを変えた方が使いやすいと声が上がれば改善する。

全員に聞くのが難しい場合は、管理職や組合などの中から何人かにヒアリングを重ねます。違う立場の方から同じ意見を聞くと、それが適切なんだろうと分かりますし。
制度にしても何にしても完璧を求めても100人が100人納得とは限らないですよね。7割ぐらいの人から喜んでもらえたら嬉しいですし、選択肢の中から自分で選んでもらうこと、何かの仕組みや運用でカバーできたらいいなと思います。

―― 御社のように大企業であれば隅々まで声が聞こえないと思っていたのですが、隅々まで声が聞こえるんですね。声を聞き、実行するスピードがすごく早く、風通しの良い会社だと感じますね。

(2011年2月4日現在)

2011年3月1日火曜日

「女性活躍に必要なこととは?」


先日22日、財団法人21世紀職業財団と京都府主催「女性の活躍推進を考えるシンポジウム」に参加してきました。


シンポジウムに先立ち、京の文化に触れ合う機会として京菓子の老松さんもよるお茶席も用意されていました。日常の中で「ホッ」と一息つける時間でした。

まず山田知事より冒頭に「ワーク・ライフ・バランスは女性に対するものと考えられがちですが、男性にとっても課題であり、重要である」と挨拶がありました。確かに、ワーク・ライフ・バランスという言葉ばかりが中身が確立しないままに独り歩きしつつあるのかもしれません。

シンポジウムでは㈱セブン&アイ出版さん・オムロン㈱さん、京都中央信用金庫さん、㈱呉竹さんのパネルディスカッションが行われ、ご自身の体験談や、企業の支援策などを聞きました。

女性自身の意識の改革を図るため、月1回の社外セミナーで若手女性30名程を集め「自分たちの仕事は会社の中でどういう役割を担っているのか」などをテーマにグループディスカッションを行い、女性自身の考え方を変えるための取り組みをされている企業様、そして自己啓発の一環として週末に実施する自主参加型の講座を土曜に行い、教養から実務的なものまでを行われている企業様もありました。様々なことを率先して取り組まれており、本当に勉強になることばかりでした。

しかしそれだけでなく、皆さん共通して“何より大事なことは上司や周りの意識、女性自身の仕事に対する姿勢や意識”とお話しされていました。

その中で「女性はこうあるべき!!と考えがちですが現実とのギャップを受け入れ、自分軸をしっかり持ちしなやかに生きていくべきだと思います」との言葉が特に印象に残りました。

確かに女性は現実を受け入れられず「こうだ!」という考えが先行しがちかもしれません。そんな時こそ柔軟に物事を受け入れることが必要なんだと改めて考えることができました。物事を判断する自分軸 “信念” を持つことが必要なのだと強く感じました。

私たちは、多くの企業様に素晴らしい両立支援の取組みの取材を行なってきました。
これまではどこか、女性にばかり固執していたように思います。しかし本当に必要なのは、制度や女性の意識改善だけではなく、男女問わず“人間性”が必要なのだと感じました。組織風土や人間関係がうまく回っていれば人は会社も仕事も好きになり、何があっても自分の仕事に対して真摯に向き合えるのではないかなと思います。
あらためて実感出来たセミナーでした。